内視鏡検査は、粘膜を直接観察できるため様々な病気の確定診断に欠かせない検査で、ガンなどを早期発見・確定診断できる検査です。当院では、食道・胃・十二指腸を観察できる上部消化管内視鏡検査を行っております。
できるだけ苦痛なく、楽に受けられるよう、長く研鑽を積んだ医師が配慮しながら丁寧な検査を行っています。
従来の口から挿入する経口内視鏡に加え、とても楽に受けられる鼻からの経鼻内視鏡からお選びいただけます。また、軽い鎮静剤を使ってウトウトしている間に内視鏡検査を受けることも可能です。
胃カメラ | 1割負担 | 3割負担 |
---|---|---|
胃内視鏡検査 | 約2,000円 | 約6,000円 |
胃内視鏡検査 +病理検査 | 約3,000円 | 約9,000円 |
「ピロリ菌」(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の中に好んで住みつく細菌です。胃の中は強い胃酸が常に分泌されている環境。細菌といえども生存できないと以前は思われていました。たまたま細菌が見つかっても、それは潰瘍などで酸が減った結果であると思われていたのです。
しかし、1982年、ワレンとマーシャルという二人の医師がピロリ菌の培養に成功しました。この菌は強い胃酸の中でも平気で暮らしていける細菌だということを証明したのです。
ピロリ菌が慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因になることは、早い時期から知られていました。ピロリ菌の作り出すアンモニアや活性酸素が粘膜を傷つけ、そこが深く掘れると潰瘍になるのです。
さらに胃がんの原因になるのではないか?という仮説が早くから出されていました。
しかし、発がん性の確認には時間がかかるため、それが証明されたのは比較的最近のことです。
今ではピロリ菌と慢性胃炎の進行が「胃がん」の発生の大きな原因であると、一般的にも広く認識されるようになりました。ピロリ菌を除菌することで、胃がんにかかるリスクはグンと減ります。
早めにピロリ菌のチェックを行い、治療を開始することが胃がんから身を守るうえでとても大切だということが分かってきたのです。
ピロリ菌は上下水道の完備していなかった戦後生まれの世代に多く見られます。
母親の口の中にいるピロリ菌が、食べ物の「口うつし」で赤ちゃんに感染するという報告もみられます。
ピロリ菌は5歳以上になるとほとんど感染が成立しないため、上下水道の完備した現在では、乳幼児の感染はとても低くなりました。
このままいくと「胃がん検診」はそのうち必要なくなるといわれています。
ピロリ菌の感染率が若い世代で大きく減っているからです。
但し当面の間は自分がピロリ菌に感染していないか、一度は調べておく必要があります。
ピロリ菌に感染しているかどうか調べる方法はいくつかあります。
a. 内視鏡で「細胞」を取って、そこに菌がいるかどうか調べます。
b. 内視鏡で取った組織を「培養」に出して調べます。
c. ピロリ菌が出すウレアーゼという酵素を調べる「迅速法」。
a. 「血液検査」で、ピロリ菌抗体(IgG)を調べます。
b. 息を吐いたときの「呼気」に含まれる尿素で判定します。
c. 「便」の中に含まれるピロリ菌抗原を調べます。
各種の検査の中でどの検査がよいかは、ご自身の状況や施設の機器などによって違います。
当院では以下のような検査をお勧めしています。
上記の検査をお勧めする理由は、次の通りです。
ピロリ菌の除菌治療は以下のような手順で行います。
ではそれでもダメだったら?
保険診療はここまでしか認められていません。
効果判定が早すぎる可能性もありますので、時間をあけてもう一度効果判定を行うことがあります。
また別の抗生物質を用いて3次除菌を行うこともあります。
最近、胃がんのリスクを判定する方法として「ABC検診」が注目されています。
これは血液検査で、
(1)ピロリ菌の有無
(2)ペプシノゲン法による「慢性胃炎」の程度
の二つの項目を測定し、それを組み合わせて「胃がん発生の危険度」を判定する方法です。2007年の厚生労働省研究班により、この方法の有効性が証明されています。
「ABC検診」は、(1)(2)の組み合わせで次の4つのレベルに分類されます。
A群はピロリ菌の感染もなく、胃炎の程度も軽いため、胃がんになるリスクは低いと考えられています。
B群→C群→D群と進むにつれて、胃の「荒れ方」がひどくなり、D群は胃炎がひどくてピロリ菌も住めなくなった状態ではないかと推定されています。
したがって、「B群」以上の方は、きちんとピロリ菌の除菌を行い、さらに「内視鏡検査」を受けた方がよいと考えられているのです。
もし会社の検診で「B」「C」「D」と判定された場合は、ぜひ外来でご相談ください。ご自身のリスクに応じて、必要な対応をお勧めいたします。
「ABC検診」は血液だけで「胃がんのリスク」が簡単にわかる方法です。
現在広く行われている「胃がん検診」は、レントゲンの検査です。バリウムや発泡剤を飲む苦痛、下剤でバリウムを排出する手間、放射線を浴びるリスクなどが存在します。
それに比べて1回の採血だけで済むこの方法は簡便な上に苦痛も少ないので、地方自治体や会社の健康診断で広く用いられるようになりました。バリウムの検査は、受診率がなかなか向上しないのが悩みの種でしたが、「ABC検診」では一気に受診率が高まったのです。
ただし、これはあくまでも「リスクを判定する検診」であることに注意してください。
バリウムの検査は「がんを直接見つける検診」ですが、この方法はあくまで「リスク検診」です。
「A」判定であっても、「胃がんにならない」ということはありません。検査でピロリ菌が欠逃されることもあるし、「荒れている胃」からでる胃がんも存在するからです。
「ABC検診」を受ける機会があればぜひ受けてみてください。
「B」判定以上なら外来受診をしてご相談ください。
また「A」判定だった方も、一度は内視鏡検査などで胃がんのチェックをしておいた方が安心であることを改めて強調しておきたいと思います。
医院名 |
---|
医療法人 中沢医院 |
院長 |
中沢 一朗 |
住所 |
〒387-0013 長野県千曲市小島2806-1 |
診療科目 |
呼吸器内科・消化器内科・一般内科 |
電話番号 |
026-272-0131 |